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【機微な詩人になる方法】

開いた窓から凩(こがらし)が入ってくる。

裸足の足指を硬く冷たくさせるその風に
何度めかの冬を思う。

季節のうつっていく様を伏し目がちに受け入れるようになったのは
いつからだろうかと、思い巡らせる。

幼い頃は、空気の匂いで季節を感じていた。
その後は、制度としてある季節感を拠りどころにしていたような気がする。 例えば、ファッションや味覚、行事、スケジュール帳のアルファベット。 そしてこの1年は、体内にある、思い出と呼ばれるものかもしれないその感覚に 風が吹きこんで、胸の奥でなにかが軋む。その音が季節の糸玉を転がす。

この時。こころという言葉をつかわずに こころを開くことができれば。 道端の草が柔らかい芽を伸ばすような詩が生まれる。

季節は一秒たりとも無くならない。
連綿とつづく時間のなかで確かな背景としてあるもの。
季節を沈黙にうけいれることもあれば、小声で言ってみることもある。 伝えたくって、誰かの腕をとり、告げることもある。

個性的である必要はないのだなと思う。
自分自身から自由になるためにもね。
自分らしさに固執してはだめよ。と、わたしはよく言う。
凩がしのびこんできて、火照った体温を0.5度さげるように。
季節は、誰にでも等しい。

選んで組み合わせた言葉にはしらずしらず、あなたがにじみでるわ。 声にしてもそう。あなたをくぐりぬけて発せられる。
持ち味をいかすために、耳を澄ませ、しずかに意識的にみつめること。 感情や体調はなんらかの作用をもたらすけれど、奥底にある いのちの熱量は変わることはない。

その点をふまえて。
詩人は風をこころにいれて、言葉をつむぐ。
想像の窓から想像の風をいれて。
耳を澄ました機微が、また誰かの耳に、季節のように届けられる。


上田假奈代 (詩屋・シタゴコロプロジェクト代表)
今日は、俳句に魅了されているせいもあって、機微に触れてみました。 シタゴコロプロPは定期的なワークショップや 他ジャンルとのコラボイベントを実験中。 トイレ連込み朗読も続行中。もの書きお仕事も承ります。
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<このページはC/P カルチャーポケットに掲載されたものを転載しています>
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