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【詩人の回転レシーブ 3】

であいなおしつづけ る

人生は、家出の連続とも言える。
 
玄関の扉を閉めて、ここに帰ってくると漠然と信じたまま出かける。
けれど、秋風のたなびきはじめた横断歩道に濃霧が発生し、何台もの自動車が突っ込んでくるとか、渡っている橋の欄干にとまっていた鳥たちが一斉に飛び立ち、橋がまっぷたつに折れてしまうとか。そんな出来事が起こらないとは誰も言えないはずだ。
 
ずぶずぶと、そんな妄想をしていては家を出ていけない。
毎日生きていると、トラブルも起これば誤解も生じる。気持ちのところで許せない、なんて台詞は飽きるほど聞く。だからこそ、扉を開けて家を出て行くその時、勇気も必要だろう。
 
勇気というのは、一大事に発揮するのではなく、何気ない日常に必要なものなのだ。
 
最近つくづく思うことは、生きるって、であいなおしつづけることかもしれないね。
 
夜がきて朝がきて、季節がやってくる。
悲しいことも嬉しいことも、せつないことも玄関の扉の外で内で、時間の波に沖へ沖へと漂っていく。
朝起きて、自分にであいなおし、
挨拶を交わし、他者にであいなおす。
 
死ぬまで日々は、であいなおしつづける一本の道だ。
 
●五分と五分で、津上みゆき

真夏に照りつける御堂筋を渡って、彼女と歩いている。ふたりの影は短く、黙ったままである。
ビジネス街のなかにある「キュービックギャラリー」への階段を重くあがっていく。
冷房の効いた部屋で、やっと顔色がもどってくる。イベント「いろこ とば」が秋でよかった。
CD-ROMに収録する作品をライブにしようと思いついたのが初夏。彼女が関東に引越したため、京都での展覧会場へ足を運び、東山を眺めながらパスタランチを食べて、勢いの1時間で決めてしまった。
2度めに会った真夏、会場である中崎町「天人」で待ち合わせ「キュービックギャラリー」でまた打ち合せをする。彼女は黒い瞳でまっすぐに言う。「五分と五分でやりたいねん。」画家と詩人の、それは真剣勝負だ、と言えば聞こえはいいが、これをイベントとして立ち上げていくためには周到な準備がいる。制作を担当するわたしは、舞台監督にスーパーラヴァーズの山本を、音響に今回のCD-ROMディレクター伊藤を口説き、構成の打ち合せを重ねている。9月の、とりかえしのつかない月夜を、ポエジィで満たしたい。
 

●であいなおして、卜田真樹子

卜田、この見慣れない名字は、シメダと発音する。彼女に出会ったのは、14年遡った京都である。
短大の教室。わたしたちは特別親しいというわけではなかったが、彼女のまなざしの強さは印象的で、不器用そうなこの人に、孤独と潔さを感じていた。
今年に入ってすぐに小さな同窓会があり、遅れて駆けつけたわたしは集まった10年ぶりの変わらない友人たちと喋りながら、控えめにその場にいる彼女をみつけた。東京から戻ってきたと、はにかむ彼女。ちょうど「詩人の回転レシーブ*CD制作」の6人目のアーティストを探していたところで、その佇まいを見て突然にひらめいてしまった。「ちょっと口説いていい?」隣に腰をおろし、説明をすると、大きな瞳をますます大きくして「わたしに何ができるかなあ」と表情を変えない。「写真か絵がいいな、しめちゃんの作品、好きだったから。」
写真が届き、数枚をピックアップした。ひとりの女性がいまここにしかない瞬間を両脇に力をこめ、切り取った四角。そこから物語を突き抜けていく詩をつくりはじめよう。


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津上みゆき
tsugami miyuki
1973年生まれ
1998年 京都造形芸術大学 大学院芸術研究科修了。
96年から個展中心に活動を続け、グループ展も多数。
[今後の予定]
個展        8/19〜9/20 佐藤美術館(03-3358-6021)
          8/20〜9/7 ギャラリーPSY(03-3231-3737)
グループ展 ART:SYNAPSE2002
          9/17〜29  ギャラリーマロニエ(075-221-0117)


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卜田真樹子
shimeda makiko
1969年5月1日大阪生まれ
京都芸術短期大学 ビジュアルデザインコース卒業。
セツ・モードセミナー卒業。
油絵、イラスト、デザイン、DTP、写真など日々いろいろと手掛ける。現在は、営業事務会社員。


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●いろこ とば

津上みゆき 絵を描く
上田假奈代 詩をよむ
 
天性の画家 津上みゆき 実演絵画と
あの闘う詩人 上田假奈代 熱情朗読が
120年の時を持つ天人で 観測される02年の秋
 
■日時:2002年9月16日(月・祝)
16:30 open 17:00 start
■料金:1500円 drink付き
*上田假奈代ファンクラブ会員1300円
■会場:AManTO天人
お問合せ:info@kanayo-net.com
       phone:090-7360-6783


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上田假奈代 (闘う詩人・詩業家)
1969年奈良県生まれ 
88年から、各種イベント企画制作出演、詩のワークショップを手がける。
00年より「トイレ連込み朗読」実施中。

02年より、大阪・應典院
詩の学校京都・京都芸術センター詩の放課後開校。
朗読CD第2弾
R指定好評発売中。
http://www.kanayo-net.com

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<このページはC/P カルチャーポケットに掲載されたものを転載しています>
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