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スペシャルレポート

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【ぽえ犬と詩人は歩きながら考える 1】

その線は、意志なのよ。コトバであり、光なの。

 「美術の中のかたち‐手で見る造形展」1989年から継続的に開催されているこの展覧会は、立体的な作品に手を触れて鑑賞する。視覚に障害のある方々にも美術館が親しまれ、目で見ることを前提とする美術を「触る」方法によって鑑賞のあり方そのものを問いかけるという目的から始まったそうだ。わたしが昨年秋からワークショップを行なっている視覚障害者施設「ライトハウス」職員・井野さんが企画された「みんなで美術館へ行こう!!」。木々が春を枝先に溜めて膨らんでいる2月23日に催された。
 
 13:30、安藤忠雄建築の立派な兵庫県立美術館のレクチャールームに、白い杖の人たちや参加者が集まっている。黙って彼らが一部屋に集まっている時、そこには穏やかだけれどテンションのある静寂が広がっていて、いつもハッとさせられる。普段、無神経に「居る」という行為を行なっていることを反省するのだ。そして、盲目の作家・光島貴之さん(http://homepage3.nifty.com/mitsushima)と金髪の学芸員・服部さんが並んで、OHCを使いながら、和やかにおはなしが始まる。今回は、美術館所蔵のブロンズ像を光島さんが8点選び、それから発露するイメージで平面作品を光島さんが制作した。画面に映った作品を順に解説。自宅の京都から美術館まで何度も足を運び、選び取った線は、どれも美しい。こういった前説は、お寺の参道のようで、石畳を踏みながら中心の作品へと誘われてゆく。あたりの庭の木々や石の景色、光や風の具合がその寺の尊厳をもう現わしているのと同じで、ふたりの話にぐいぐいと魅きついけられていくから、展覧会もたいへん楽しみになってくる。
 
 いよいよ展覧会場へ。晴眼者はアイマスクをして鑑賞することもできる。2人1組になり、一緒に行った妹を案内する。ことばで作品を伝えるが難しく、彼女が何をとらえているのか興味深い。誰かとぶつかったりしないか、転ばないか、注意をはらいながら手をとる。
 
 今度はわたしがアイマスクをして妹に手をひかれる。先の前説が作品への全体像を思い出させてくれる。当てモンではないのだから、むしろ線をなぞり、その触感でなにかを感じ取りたいと思い、手のひら、指の神経をそばだてる。手に集中しているとぐったりと痺れてくる。光島さんが「スローに生きるのも大事だと思う」と仰った柔らかい口調が思い出される。
 
 そして光島さんの大きな一作「光のぬくもりを感じて」に触れる。3m×5mくらいはある平面には大地と木、鳥、太陽とその光が描かれている。光をなぞって、左上から右下へと対角線に身体をずらしていく。だんだんとからだをかがめていく。さきほど妹に「太陽の光が何本も斜線で伸びているのよ」と簡単な説明をしたところだ。指が画面の端に近づくころ、その線が、祈りのような意志をもって描かれていることを感じ取る。あきらめない、生きる強さが指先から伝わってくる。その時、思ったのだ。線は、彼の意志やわ、コトバと同じやな。限られた道具をつかって現わすのは、自身がどうやって生をにない、生きるかということの身ぶりなのだ。
 
 輪郭の線は、意味をさししめすだけではない。意味するもの、意味しないものの境界をはっきりとしめし、その限界に行きつく努力によって、たちあがる。ことばが文字の行間に沈黙を内抱し、声は呼吸の間合いで成り立っているように。わたしは、指先でその線を確かめ確かめ、ゆっくりと丁寧にその意志を重ね合わせた。
 
「ぽえ犬と詩人は歩きながら考える」では、詩人が視覚障害者と関わる模様をレポートしていきます。月に2回、放出・視覚障害者施設ライトハウスにて「声とことばのワークショップ」を開いています。ご興味のある方はお問いあわせください。info@kanayo-net.com 

■C/P move on selection vol.2
 上田假奈代 CDがついに出来上りました。
 
 「あなたの上にも同じ空が」
 詩と朗読:上田假奈代
 
 1.潜るならこの空に
 2.あたしはヒゲコ
 3.連歌詩
 4.空想シーソー
 5.水槽のメモリィ
 6.それぞれの人生は、はじまってしまうものなんよ
 
 技術監督:伊藤“cue”伸治(L.A.B.)
 発行元:APMレーベル(APM-1002)
 発売元:(有)インテラスディック社
 特別感謝:詩のオーケストラ / 芸術創造館
 2,000円(tax out)
*お問い合せは kanayo_cd3@kanayo-net.com
 
■上田假奈代のぽえ茶会「ハナキンナイト」 
 5/9(金) 20:00〜 \1500(お茶とお菓子つき)
 オープンマイクでニギニギと賑やかに
 出演者募集中!
 
■「わたしとパレスチナの距離
 〜セクシャルマイノリティとしての経験から」
 5/17(土) 15:00〜18:00 \1000(お茶つき)
 トーク:日比野真
 ナビゲーター:中西美穂、上田假奈代
 
■ぽえ犬わん
 5/31(土)19:00open 19:30start \3800(CD付)
 cocoroom オープニングパーティ+
 上田假奈代レコ発ライブ「あなたの上にも同じ空が」
 
■上田假奈代のぽえ茶会「日常キモノ指南第2回」
 6/21(土) 19:00〜 \1500(お茶とお菓子つき)
 
*上記すべて 会場 cocoroom http://www.sap-s.jp
 大阪市浪速区恵美須東3丁目4番36号
 フェスティバルゲート4F
 
■詩の学校 ポエム道場 5/7・21・6/4・18
 すべて水曜19:30〜 \1000
 
 会場 應典院 http://www.outenin.com
 大阪市天王寺区下寺町1-1-27 tel. 06-6771-7641
 
■詩の学校 朗読道場 4/27・5/25・6/22
 すべて日曜 15:00〜 \1000
 
 会場 AManTO天人
 http://www.yura-ism.com/amanto/i/
 大阪市北区中崎西1-7-26 tel.06-6371-5840
 
*上記のお問合せ:APM・シタココロプロジェクト
 info@kanayo-net.com
 
■詩の放課後 5/8・22・6/5・19
 すべて木曜19:00〜 \1000
 
*上記お申込み・お問合せ
 京都芸術センター http://www.kac.or.jp
 604-8056
  京都市中京区室町通鮹薬師下る山伏山町546-2
 info. 075-213-1000
 

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上田假奈代(うえだかなよ)
闘う詩人・詩業家
3歳より詩作、17歳から朗読をはじめる
00年から「トイレ連込み朗読プロジェクト」実施中
02年から、各地で、詩のワークショップ「詩の学校」を開校
声の即興響グループ「詩のオーケストラ」の監修をつとめる
フェスティバルゲート4F「cocoroom」を運営
シタココロプロジェクト主宰・APM代表
http://www.kanayo-net.com

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<このページはC/P カルチャーポケットに掲載されたものを転載しています>
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