はたらくことば
昨夜 遅くまで 準備をして
今日は 早起きして
カイロを貼って 振り袖をひとりで着て
大阪府庁へでかけた
「お昼休みのミニライブ」本番である
うちあわせして
府庁エントランス 大理石の階段を舞台に
本番12:20スタート
12:55におわる
大理石の踊り場で
声は 蝶々のように曲線に飛ぶ
ライブがおわるとすぐ 府議会議長室によばれた
何人もの職員の方がわたしの後ろに並び 秘書課を通過し
白いソファの議長室に生まれてはじめて入る
議長は 府議会に通っていたわたしのことを
覚えていてくれて はじめて逢ったような気がしないといった風情
何度も 「また 遊びにきなさい」と にっこりと笑う
部屋を辞去すると 秘書の人が走ってきて 「これを議長から」と
いちごジャムを手渡された
副議長にも挨拶をする
副議長も議会に通っていたわたしを「一体誰?」と思っていたと話してくれた
新聞の取材をうけてから
控え室で 肢体不自由な人の詩をつくるワークショップをして
(といっても わたしは何もしなくて 彼らは どんどん書いていくのだ)
いそいで フェスティバルゲートにもどって 会議をふたつ
(ひとつは 両親がやってきて上田家の家族会議は妹の見合い問題)
そのあと 雑務をして お客さんがきて
「生きる仕事シリーズ」(さまざまな職業の方をゲストにお招きし
仕事について 話を伺うトークイベント わたしはホスト役)がはじまる
今夜のゲストは エメスズキさん(ダンサー・振付家)
参加者のなかに 西成で生活保護を受けながら暮らしている中年の男性が2名いらした
ひとりは おもいのたけを話したくて
ほとんどの時間はその方のお話になる
もうひとりの方は ずっと黙ったきりで 尋ねると 答えてくれるが
一言二言である
「仕事をおさがしですか」
「はい」
「どんな仕事を望まれているんですか」
「公務員です」
「公務員を望まれる理由をきかせてもらえますか」
「楽そうで、定年まで安定した収入が入るでしょ」
おそらく職さがしに苦労を重ねたであろうその方の希望する公務員を
2ヶ月かけて取材してきた
返事に困ってしまった
「公務員だからといって 楽ではないとおもいますよ
この世の中に 楽な仕事なんてないとおもいますよ」
そう答えたが もっと話したいことがあった
けれど その前に ゲストや参加者のみなさんの話を聴くのが わたしの仕事だ
ミニライブを見に来てくれた新聞記者の方が また来てくださっていた
イベントがおわってから 取材をうけて
今日いちにち 気がつくと 深夜である
はたらくことば
実のところ なかなか深くまで語られないのが はたらくことばだ
わたしは そのことばと出逢いたかった
ことばにすることによって 語られなかったことばが 行間にひそみ
ゆれうごくたびに 無数の働き手のことを想像する
そのとき 諦念の淵で 頭をたれるしかなく
それでも 懲りずに また 出逢いを望む
語られず 黙々と わたしたちは
まいにち 誰かが はたらいている星で 生きている