朗読CD「あなたの上にも同じ空が」

収録

  1. 潜るならこの空で←MP3で視聴できます
    上田假奈代
  2. あたしはヒゲコ←MP3で視聴できます
    上田假奈代/田村知恵(グラフィックデザイナー)
  3. 空想シーソー
    上田假奈代/つき山いくよ(アーティスト)+詩のオーケストラ念じ組
  4. 連歌詩
    上田假奈代/篠原千代(歌人)
  5. 水槽のメモリィ
    上田假奈代/卜田真樹子(会社員)
  6. それぞれの人生は、はじまってしまうものなんよ
    上田假奈代/津上みゆき(画家)

このCDは、同名作品を収録していない。
サイトのカナヨネットと同じタイトルである。

あえて30数案もあったタイトル案を蹴って、
このことばが持つ直球な新鮮さで、CDを梱包したいと願った。

実は本作、構想1年。
その企画は途中、何度も暗礁にのりあげている。

声には、人生への姿勢が、その人の注意力が、あらわれている、と思う。
それを作品化するという意志のもとで、
立ち位置をしめすその声を録音したわたしは
CDを完成させ、
あなたの耳に届けたいと願うのならば、あきらめるわけにいかない、と自らを叱咤つづけたのである。

トラブル発生の度に、いろんな人に助けられ、あたたかく見守ってもらった。

この作品、この作業は、
何にもまして「コミュニケーション」がキーワードだったことを、
耳の温度で思う。
あたたかくて、すこし熱をもっていて、空気に、コトバに震えながら反応する耳。

コラボレートにつきあってくださった女性たち、
ジャケット写真を撮影してくださったFさん、
折り折り、パッケージング作業を手伝ってくれたお友達、
情報を整理し、こころから支えてくれたスタッフさん、
この企画を生み出してくれた大阪市文化振興事業実行委員会に感謝を捧げる。

上田假奈代 2003年4月

アルバム批評「あなたの上にも同じ空が」

(其の一) 晴敏シウジ

上田假奈代のCDは夜中にひとりで聴くものだと思っていた。
1st「愛さない」から2nd「R指定」へとつづく詩人の声は、眠りにおちる寸前の静寂がよく似合った。「あなたの上にも同じ空が」を一聴した印象は、朗読のリズム大きくが変わったなぁ、というもの。さらに、のびやかになり、穏やかな心音を思わせる。大阪市発行のフリーペーパーCP誌の企画で、5人の女性アーティストたちとコラボレーションを織り込む、という制約がこのような変化をもたらしたのかと想像した。このアルバムは軽い。以前の作品とくらべ聴き易い上に、ユーモラスな場面すらある。大阪の地名が頻繁に出てくるので、場所の記憶がよみがえってくる。自分の記憶とすり変わる瞬間があり、ある種の共犯意識が浮かび上がる。
紡がれてくるイメージは、高地にある湖。大阪の街が沈んでいる。
それにしても、ただのシンプルなポエトリーリーディングなのに、なにかが決定的にちがっている。これは、上田が17歳にはじめて朗読した時の「世界にみつけられたような感じ」に近い、世界のなにかの断片なのかもしれない。何度か聴き込むうちに、とんでもないことに気付いた。この詩人の声には自意識というものが、ほとんど感じられない。どこまでもつづく水面に映りこむのは、やり過ごすことのできないわたしたちの日々のありようだ。
不倫に走る主婦の日常で幕をあけるこのアルバムは、穏やかな言葉のリズムがトラックを進むごとにおり重なる。心地よく弛緩する聴き手の意識が、数秒間のデジタルの歪みの中で突如ピークを迎える。
セックスにも似た50分間の最期に「それぞれの人生ははじまってしまうものなんよ」と呟く詩人の声は、自我を突き放した者のあざやかな声だ。
つぎは、夕暮れていく蛸焼けた空の下で聴いてみたい。

(其の二) 匿名希望の応援者 M・S

聴いていてひっかかったのは、最初(「潜るならこの空で」)と最後(「それぞれの人生ははじまってしまうものなんよ」)。假奈代さんの詩は、どことなく一歩退いていると、感じさせる。
退いたところに差し出され、とらえられるのを待つ言葉とその意味。声の調子は、やわらかく、やさしく、聴く者を包みこもうと待ち構えている。踏み込んでくる、情念の発散はあんまり感じられなくて、だから、物足りないとも感じる。でも、その中にある時折の言葉が、こちらのこころにからまって、印象を残す。強烈だから、というよりはむしろ、さりげないからかえって印象的、というような。《何を残せたんだろう 2002年のこの夏に》。これは、「それぞれの人生ははじまってしまうものなんよ」の第二部の終わりにおいて発される。CDには収録されてない。けれど僕には、この一文がとても印象的だった。ここにこのCD総体の核心を見ようとするのは、恣意的に過ぎるだろうか。妥協も、安易な解決も求めようとしない者の模索が行き着いたのは、徒労感だった・・・言い過ぎだろうか。棘の無い空虚、開けっぴろげな自棄、聴いていて、そんな感じがした。
このCDについては、次のように言うことができるだろう。すなわち、《明日の天気も予想できないまま》《いまさらひきかえすこともできない》状態が常態となりかねない、そんな時代を生きて、率直に見つめようとした者の、詩という、今や不毛となりかねない領域に留まり、精一杯の抵抗を試みた成果であると。それは、空虚感漂う、徒労の成果なのかもしれない。けれどそれは、少なくとも、時代との繋がりを欠いたところに発される、空疎感とは異なると、付言しておくべきかもしれない。

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